■ 沿革
根城館は由利十二頭の一人である大井氏の居城である。
−大井氏の居城として−
大井氏は信濃国佐久郡大井郷を出自とする小笠原氏の流れを組み、大井大膳大夫義久が応仁年間(1467〜69)に出羽国由利郡に入部し、地頭職に就いたのが始まりとされる。根城館は義久が入部した際に居館として築いたものと思われる。
大井氏は義久の後、満久・義満と続き、4代五郎満安は矢島氏を名乗っている。
矢島氏は義満の代、同じ由利十二頭の一人・仁賀保氏と対立した。それにより最終的に4代満安の代には由利十二頭のほとんどが最上義光に属したのに対し、満安は小野寺氏に付いた。これにより矢島氏は孤立することとなった。
天正年間(1573〜93)、満安が新荘館に居館を移し、その後の根城館の状況は不明である。
■ 構成
館域は東西400m×南北200mの平坦地に位置し、4段階状の段差を有する。
主郭は南西端に位置し、大手口は北側、搦手口は南側に設けていた。
主郭の東側には馬場跡が位置し、南端には土塁が設けられている。さらに東側には八幡神社が祀られ、その外側、東側には二重堀が設けられていた。
■ 現況
現在、主郭は林に、馬場跡は空地となっている。
一部石塁を擁する土塁や二重堀などの遺構も良好に残る。
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■ 主郭跡切岸
主郭東側外周である。
このように段差が設けられている。 |
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■ 馬場跡土塁
南側に位置する。
高さ約4.7m・長さ48mとされる。 |
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■ 八幡神社
館跡東側に祀られている。
大井氏の創建とされ、社殿は万治2年(1659)に再建されている。
秋田県指定重要文化財となっている。 |
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■ 二重堀
館域東側に設けられている。
保存状態は比較的良好である。 |
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