さがえじょう
寒河江城
寒河江城跡 石碑  訪問年月日  2006年9月16日 / 2007年7月24日
 別称  −
 所在地  山形県寒河江市丸内
 創築者  大江親広
 主要城主  寒河江大江氏
 築城年  嘉禄年間(1225〜27)
 廃城年  寛永13年(1636
 様式  平城
 構成  本丸・二ノ丸・三ノ丸
 遺構  水堀
 設置・復原物  石碑・説明板
 文化財指定  −
 ■ 沿革
寒河江城は寒河江氏18代の居城である。

−大江氏の寒河江・長井支配−
文治5年(1189)、大江広元は源頼朝の奥州合戦の功により寒河江荘・長井荘の地頭職に任じられた。しかし広元は幕府の要職にあったため、義父である多田仁綱を遣わせた。仁綱は本楯に館を築いて寒河江荘を支配した。
建久3年(1192)、広元は嫡男である親広に寒河江荘を、二男である時広に長井荘を任せた。しかし親広は京都の守護職であったため、寒河江荘は引き続き仁綱が支配した。承久3年(1221)の承久の乱において、親広は後鳥羽上皇の命によって執権北条義時の軍と宇治川供御瀬において戦ったが敗れ、親広は寒河江荘に逃れた。親広は父親の広元が幕府の実力者であったため許され、罪に問われずに済んだ。

−寒河江氏−
親広はそのまま寒河江荘に留まり、寒河江氏を名乗った。嘉禄年間(1225〜27)には最上川西岸の地に寒河江城を築き、寒河江氏の居城としている。当時の寒河江城は、本丸跡に館が存在する程度であったとされる。
南北朝時代、寒河江氏は南朝方に属しており、北朝方に属した最上氏と争う事となった。しかし正平23年(貞治6・1368)、漆川合戦において寒河江勢は敗北し、総大将であった溝延茂信以下一族60余名が自刃して果てた。その最中、寒河江時氏は最上氏に降って寒河江氏の名を存続させている。

天授6年(1380)、梁川城主の伊達宗遠が長井荘へ侵攻し、元中2年(至徳2・1385)に長井大江氏が滅亡した。その後も伊達氏は勢力を拡大し、ついに文明11年(1479)、伊達成宗は桑折播磨守宗義を大将として寒河江城を攻撃した。当初家中の乱れもあって寒河江勢は苦戦したが、徐々に統制を回復し、翌12年(1480)には菖蒲沼合戦において伊達勢を破り、宗義を討取った。

−最上義光の侵攻−
永正元年(1504)、山形城の最上義定が寒河江領に侵入し、その後も度々最上氏の侵攻を受けたが一族の協力もあり撃退に成功していた。
しかし天正12年(1584)、最上義光は寒河江氏と親交の深かった谷地城主白鳥十郎長久を滅ぼした。義光はその勢いを持って寒河江領へも侵攻し、寒河江城に迫った。寒河江勢は城主寒河江高基の弟で豪力を謳われた羽柴勘十郎を大将としてこれに当たらせ、勘十郎は奮戦、最上勢は大いに苦戦した。この勘十郎の活躍に対し、義光は策を練って勘十郎を自陣まで追込んで討取り、結果的に高基は敗走して貫見へ退き、松田彦次郎の館で自刃して果てた。
義光は寒河江氏滅亡後、寒河江氏の傍流であった寒河江肥前守に2万7,000石をもって存続を許し、寒河江城には寒河江氏の一族であった寒河江外記光俊を城代として置いた。

−最上氏滅亡後−
元和8年(1622)、最上氏が改易になり、鳥居左京亮忠政が山形城主となると、寒河江城も鳥居氏の預かりとなった。忠政は代官として豊田壱岐を任じ、この際に寒河江城二ノ丸・三ノ丸の土塁と堀が破壊され、本丸を残すのみとなった。
鳥居忠政の嫡子である忠恒の代、豊田壱岐は検地を徹底し重税を課したため農民は忠恒に訴え、忠恒は壱岐を罷免して石黒茂助を代官にした。そして寛永13年(1636)に忠恒が没した際、無嗣のため鳥居氏は領地を没収された。
その後、寒河江6万2,000石は幕府天領となり、小林十郎佐衛門・松平清左衛門らが代官に任じられた。それに伴い寒河江城も廃城となった。


 ■ 構成
本丸の規模は東西110m×南北162mで長方形状である。
本丸の周囲は幅14m程度の堀によって囲まれ、その周りは東西250m×南北330mの二ノ丸によって覆われていた。二ノ丸の外周にも幅15mの堀によって囲まれ、さらに外周には東西400m×南北550mの三ノ丸が存在し、南側には大手門が位置していた。また、三ノ丸の外周はまた16mの幅の堀によって覆われていた。


 ■ 現況
現在は城域のほとんどが住宅地となっており、本丸跡は寒河江小学校となっている。

■ 三ノ丸跡西側
本丸跡の西側。住宅地となっている。
■ 三ノ丸南側
城跡の南側を県道23号線が通っている。
■ 二ノ丸跡
二ノ丸跡も住宅地となっている。
■ 本丸跡
現在は寒河江小学校が建っている。
■ 本丸跡南側
■ 本丸跡東側
■ 本丸跡
西側より望んだところ。
■ 駒形堂跡
本丸跡に隣接する。
「大江氏」の敷地内に存在している。
■ 堀跡
一部堀跡が用水路として残っている。
■ 地図